一九世紀末の西欧に成立したという作者不明の風景画『Nostalgie』。その画面を書き起こした一頁の本文に、十二の註釈が垂れ下がる。註釈小説。
あらすじ
冒頭の一頁は、扇状地を描いた風景画『Nostalgie』そのものの描写である。そこに付された十二の註釈が、画家の作為、湯守を生業とする彼女との芸術談義、この土地に堆積した虚構の密度へと話題を広げていく。註釈を辿るうちに、註釈者「ぼく」が絵の外にいるのか内にいるのかが判らなくなる。
初出
ねじれ双角錐群 第二小説誌『廻廊』(2017年)。『望郷』という架空の風景画を作中に登場させることだけを制約に書かれた六篇の一つ。