外界を言葉としてしか認識できない病に冒されたぼくは、AR故人《島崎藤村》β版のデバッグのため温泉旅館に逗留し、そこで奇妙な失踪事件に巻き込まれる。きみとぼくと《島崎藤村》が織りなす湯けむりSF幻想譚。
あらすじ
信州小諸の温泉旅館が舞台。外界を言葉としてしか認識できない「ぼく」は、同僚のエンジニア・系とともに、AR故人サービス《島崎藤村》ベータ版のデバッグのために逗留する。全テスター環境で藤村が一週間以内に消えてしまうという致命的なバグを追うなかで、ぼくは詩を朗読する藤村と対話を重ね、言葉が世界を規定してしまうという自らの認識のあり方に向き合っていく。
初出
ねじれ双角錐群 第一小説誌『望郷』(2016年)