未知の代替数学に滅ぼされた人類が外宇宙へ放った黒い立方体《筺》を、七腕の異星文明が解析する。日誌の余白に灰色の挿話が滲み出し、やがて紙面の主客が反転する。
あらすじ
人類学者ル=ダ=ゴの研究日誌という体裁をとる。彼の文明の紙面は七分律平面と呼ばれ、上象限に本文を、下象限を裏書のための余白とする。《筺》の解析が進むにつれ、その余白に「灰の語り」——筺の内側で代替数学を研究する人類の「俺」と旅の伴侶キカの物語——が灰色の文字で現れはじめる。情報が知性を生むという人類の情報理論が理解されるにつれ、上象限と下象限の主客は入れ替わっていく。
初出
ねじれ双角錐群 第三小説誌『アンソロポエジー』(2018年)